箱根ボードゲーム合宿

 週末はボードゲーム部の合宿で、箱根にキャンプップに行ってました。金曜の昼に家を出て、新宿から小田急線に乗り、小田原で釜飯をむさぼり食った後、箱根湯本からスイッチバックの登山電車で強羅に登り、早雲山までケーブルカー、そこからはロープウェイで桃源台に到着。変な乗り物ばかりで面白かったです。特にロープウェイ! 硫黄の煙がそこかしこから立ち昇る、アイゼンガルドもかくやの大涌谷といい、行く手の空を赤と紫に染めて沈みゆく夕日といい、遠くに聳え立つ霞のかかった富士山の姿といい、窓から見える光景が本当に素晴らしかった。高所恐怖症の人が二人ばかりいて、死ぬ思いをしたようですが。
 さて、この合宿で遊んだゲームは以下の通り。
ウサギとハリネズミ
 ウサギのレーサーがものすごい量のニンジンと三個のキャベツ(お弁当)をボリボリむしゃむしゃ食いながら競争する、すごろく式のボードゲーム。ニンジンパワーを補給するためにコース上を逆戻りしたりするので、プルバックで走るチョロQか、下手な人がやるゲーセンのレースゲームみたいでもあり。手持ちのニンジンをやりくりして、余らせないようにしてゴールしなければいけないのが難しい。見事にビリッケツでションボリ。
モンゴルフィエ(バルーンファイト)
 今回の合宿前に買いました。気球で月まで行ってしまおうという、これもレースゲーム。上から催眠ガスを撒いたり、フックを上の人に引っ掛けてコバンザメしたりと、他のレースにはないようなガジェットが楽しい、単純ながら面白いゲームでした。
クク
 イタリア生まれの古いカードゲームで、トランプのように色んな遊び方がある。今回遊んだのはおそらく一番メジャーな「カンビオ」(というか、他の遊んだことないな)。一枚きりの手札を隣の人と交換するかしないか、基本のルールはそれだけなんだけど、大人数でやるとこれがめっぽう面白いのです。もともとはギャンブルなので、チットを使って遊ぶと熱い!
シンペイ
 バンダイから今年出たばかりのボードゲーム。運の要素がないロジカルなルールなので、負けた責任はダイレクトに本人に帰せられます。というわけで、今回の合宿では、総勢21名の勝ち抜けトーナメント形式で、バカ王決定戦を開催したのでした。後手有利なので、一試合につき先手・後手一回ずつ、コマを動かして手を離したら終わりの待ったなしルール。引き分けたらジャンケンで勝敗を決定します。何しろ負け残ると容赦なくバカということになってしまうので、「ジャンケンで負けた」とでもエクスキューズする余地がないとあまりに残酷すぎるのですね。人間の尊厳がかかっていますから。僕は3人のバカシードのうちの1人だったのでドッキドキでしたが、夜音さん(id:nacht_musik)との試合に臨んだ結果、なんとか先手・後手とも勝利して勝ち抜け。よかった……。先手番では夜音さんのケアレスミスを容赦なく突いて勝ちをもぎ取ったので、わりとえげつなかったです。結局全試合を終えて決定したバカ王はその夜音さん。彼こそ今回の合宿の主役といってよいでしょう。おめでとう!
サタスペREmix+ in ポート・ブラックサンド
 速水さんDDで遊んだのはファンタジーサタスペ。舞台はファイティング・ファンタジーの悪名高き盗賊都市、ポート・ブラックサンドだ! 『タイタン』にカーレよりも邪悪と書かれているのが微妙に信用ならないとはいえ、最上級にろくでもない街であることは確かです。サタスペでいうと街全体が沙京みたいなものですから、その治安たるや推して知るべし。
 キャラクターメイキングは、サタスペのルールにFF用のオリジナル表、それにまよキン命名メソッドを混ぜたもの。おかげで妙に八幡国出身や東洋人が多いパーティになってしまいました。サタスペではキャラの性別もダイスで決定できるので、気がついてみると男が1人に女が4人。一見ギャルゲーみたいだが、黒一点の男は棍棒だけ持った全裸の男なのでもう台無し。や、でもいるいる、こういう人。アランシアには珍しくない。
 さて、キャラメイクも終わったところでゲーム開始。正門の衛兵に袖の下を渡し、中に入っていくらも歩かないうちに、いきなりアズール卿の馬車に轢かれかけるわ、マダム・スターの水晶玉占い(キジルシの異能「電波」扱い)で「サラリーマン」に変身させられかかるわで、とてもじゃないが危なくて出歩けないことが判明。通行証を手に入れればブラックサンド遭遇表を振らなくても済むようなので、衛兵詰め所に忍び込むことに。しかし盗みはあえなく失敗、現れたのは旅行者いじめが大好きなトロールの衛兵、サワベリーとファットノーズの二人組。こいつらがまた強いんだ。六尺棒で頭蓋を卵の殻のように割られてマン・オーク娘が死亡、敵の眼前で金目のものを漁ろうとした全裸男もぶちのめされて昏倒。なんとか通行証は奪取したものの、この状態では埒が明かない。しょうがないので昏倒した全裸男をヤズトロモ先生のところに担ぎこんで治療してもらうが、ヤズトロモはルール的には乃木先生相当。あんまりだ。なんとか治療してもらって意識は取り戻すものの、トルエン相当のポーションの効果でやっと立っているような有様。トルエンの効果が切れると、コカイン、メスカリン、PCP(それぞれのドラッグに相当するポーション)で意識をつなぎ、あっという間にただの全裸男から狂ったヤク中の全裸男へと廃人ランクを駆け登る。うん、いるいる、こういう人。むしろどんどんアランシアに相応しい面構えになってきた。しかしこの男、信じがたいことに恋愛キャラ。敵に第一印象判定を仕掛けて両想いになった姿には、「全裸男、がんばれっ!」の応援も飛んだという。
 また、「ヒマツブシ」の情報収集として、さらし台の罪人に腐った卵を投げつけていた自称450歳の墓暴き幼女が、「高速1」のついた魔法を両手で使う黒ローブの徴税吏(ベレッタ二挺拳銃の「黒服」に相当)の襲撃を受けて黒焦げになり、自分がさらし台に上ることになったのがいかにもブラックサンドらしくて素敵でした。これ以上生かしておくのが忍びない有様だったので、八幡国の作法に則ってとどめをさしてあげましたが。ちなみに僕は、生活の情報収集のイベントに引っかかって、蛇女王の邸宅で要人接待とかしてました。
 いやいや、かなり面白かったです。現代犯罪アクションものであるサタスペの要素を無理矢理ファンタジー置換した違和感が絶妙(両手魔法ってなんだー)。とはいえ独自データももっと欲しいですね。色々追加してまた遊んでみたいです。
クトゥルフ神話TRPG
 夜音さんのキーパーで、クトゥルフ・バイ・ガスライト。バカ王と侮るなかれ、彼のマスタリングは決め細やかで、キャラクターの設定をちゃんと拾う丁寧なものなのだ。今回のシナリオは、ひどい不況にあえぐ1890年代のロンドンで、ある工場労働者の息子の失踪に、ハイド・パークにやってきたサーカス団が絡む奇妙な事件を調べるお話でした。探索者は、インド帰りの傷痍軍人、そのかつての部下である道楽探偵、探偵の使い走りで小銭を稼ぐスリの少女、傷痍軍人と同じクラブに加盟するオックスフォード大の博物学教授、彼の研究室に入り浸るオカルトマニアの女性ディレッタントという5人から成る紳士同盟。キャラが立ってて楽しかったですよ久々に昔ながらのロールプレイをした気がします。キャラ設定が添え物の殺伐としたゲームばかりやっていると、こういうゲームが染み渡る。大型猫類コワカター。
 それにしても、クトゥルフ遊ぶの何年ぶりだろうか。自分でもまたキーパーしたくなってしまいました。
 
 こうして見ると、合宿にしては意外に遊んだゲームが少ないけど、それでも充分堪能しました。よく考えたら金曜の夜+土曜の、合計1日半しか正味のゲーム時間なかったんだもんな。少ないのも当たり前でした。遊んでる人は寝る暇も惜しんで遊びまくってて、元気だなァと感心することしきり。2日目、クトゥルフを終えたらもう深夜の4時をまわっていたので、寝ようとしたら、合計体重400kgの悪夢のようなツイスター(パーティーゲーム)が遊ばれてて、あれはすさまじいものを見ました。その後はもっと軽い体重の面子で延々と続けてるのを眺めた後、寝床に引っ込んだら、「魚蹴は危険を察知して逃げた」「利口だよ」などと謂れのない罵倒を受ける羽目に。失敬な。俺は寝たかっただけだ。まあ、多少の危険を感じていたことは確かですが。
 3日目の日曜日は朝10時にチェックアウトして、箱根海賊船(普通に遊覧船でいいのに……)で芦ノ湖を渡って対岸へ。山のホテルで甘味をいただいた後、バスで箱根湯本まで戻り、小田急線の入生田で降りて、神奈川県立生命の星・地球博物館へ。評判は聞いてたけど、ここは素晴らしかった。いかにも箱物な外観に似合わぬ充実した展示は、駆け足ではとても見切れないほど。一日かけてじっくり見るつもりでまた来ようと思いました。
 博物館を出た後は隣の風祭で降りて箱根ビール蔵へ。てっきり地ビールメインでドイツ料理でも出すのかと思いきや、かまぼこで有名な鈴廣が経営しているだけあって、出てくる料理がことごとく練り物。何しろたこ焼きまで小麦粉じゃなくて練り物なのだからびっくりしました。焼きたてのちくわとか、非常に美味しかったですよ。
 腹が膨れたあとはまた小田急線に乗って、新宿まで一直線。座っていても急行の座席に1時間半は辛かった……。ほとんど寝てたのに、今回の旅行で一番疲れた気がします。乗り換えはめんどくさかったとしても、小田原でロマンスカーに乗ればよかった。
 夜の8時に新宿に到着したときにはくたくただったので、喫茶店でコーヒー飲んで、タワーレコード銀河ヒッチハイク・ガイドのサントラ買って、初めて入ったエジンバラでまたコーヒー飲んで、終電で帰宅。結局まっすぐ帰ったほうがよかった気もするけど、まあよい。
 新サンマとかバーベキューとか北海道のジャムとか、食べ物も酒も美味しかったし、ゲームもたくさんしたし、フルに遊びまくった3日間でした。皆様お疲れ様でした。ありがとうございました。