迷宮キングダム

 宣伝だ(= ゚ω゚)ノよう。

 ええ、もうすぐホビーベースさんから『迷宮キングダム』、通称「まよきん」というファンタジーTRPGが発売されます。ゲームデザイナーはアジアンパンクRPGサタスペ』でおなじみの河嶋陶一朗。このゲームに、わたくし魚蹴も世界設定で関わっております。
 ごく平凡な、よくある感じのファンタジー世界に、あるとき襲い掛かった「迷宮災厄」(ダンジョンハザード)。このカタストロフによって、世界はまるごと、無限に成長し続ける迷宮に飲み込まれてしまいます。空も海も失われ、街も森も草原も、すべてがダンジョンの暗闇の中に取り込まれてしまったのです。
 しかし、人類はしぶとく生き延びました。迷宮の通路に居を構え、もやしを植えて畑を作り、さまよえる怪物を狩って肉を喰らい、脈々とその命を繋ぐことに成功したのです。それから測り知れない年月が過ぎました。在りし日の「星空」も迷宮によって埋め尽くされているため、いまや星にも人の手が届きます。ギイギイギイフウ、ギイギイフウと迷宮の中を周回している星を軌道から外し、通路をごろごろ転がしてきて、田畑の天井に設置することで、麦や米などの作物を大規模に栽培することも可能になりました。技術レベルも向上し、迷宮の中で倒した怪物は、職人の手によって余すことなく素材として利用され、様々な品物へと加工されます。一度退行した人類の文明は、いま再び盛り返そうとしています。
 とはいえ、人の行き来を妨げる危険な迷宮に隔てられて、人類はいまだ無数の小さな集団に孤立しています。これら散逸した人々の間からは、しばしば迷宮を征服し、王国を建ち上げようと志す者が現れます。彼らは周囲の人々を自らの民として従え、人口数十人の「王国」を、徐々に大きく、強く、発展させていきます。彼らこそプレイヤーの分身、百万迷宮の英雄「ランドメイカ」なのです。
 というわけで、延々と続く迷宮の中でダンジョンハックしたり国家経営したり戦争したりイナゴに田畑を襲われたりするゲームだよ。世界設定はディストピアだいすっき速水螺旋人と、変な生き物だいすっき魚蹴が半分ずつ担当しました。いや遊んでみてわかったんだけど、ホント性質の悪い世界ですよ。ものすごい閉塞感。普通のゲームだったら、ダンジョンから出たら空が見えるでしょ。でもこのゲーム、ダンジョンから帰ってきてもまたダンジョン。生まれてから死ぬまで、生きている限りずーっとダンジョンの中、もしかすると死んでも外に出られない、というか外があるかどうかもわからない、まさに行住坐臥ダンジョンの、閉所恐怖症の人なら狂死しそうな世界です。作った人々の悪い妄想もたっぷり詰め込まれています。あとイラストが豊富、すごい豊富。ここまで絵が多いルールブック、最近だとそうそうないんじゃないかな。全クラス、全ジョブ、全スキル、全施設、全モンスターにイラストがついてますし、普通の挿絵も豊富。眺めていて楽しいルールブックだと思います。絵は自分が描いてないから臆面もなく褒めるよ。個人的に好きなのはモンスターセクションで、『モンスター事典』とか見てハァハァしていたあの頃を思い出します。
 スタンダードファンタジーの皮をかぶったこのおそろしい世界、ご興味を惹かれましたら、書店やゲームショップでお手にとっていただければ幸いでございます。
 発売日は8月12日、価格は3780円。よろしくお願いいたします。