カラシニコフII

カラシニコフII

カラシニコフII

 大評判になった朝日新聞の連載『カラシニコフ』の続編。中南米と中東をフィールドに、身体を張った取材をおこなっていて読ませます。今回は、前から詳しく知りたかった、アフガニスタン山地の家内制手工業的銃器密造業者の実態を垣間見ることができて満足。中国からアメリカを経由してコロンビアに流れ込み、中南米諸国をダイナミックに動き回るカラシニコフの伏流があるという話も面白かったです。日本に麻薬が入っているということは、カラシニコフもセットで密輸されているはずだ、というコロンビア軍将校の言葉が気になりました。今後出るであろう極東のレポートに期待です。
 しかし、この本に書かれた中東の現状を見る限り、やっぱり当分米軍は撤退できないですね。というか撤退しちゃだめだー。絶対だめ。前作でいちばん興味深かったのは、自発的な武装解除に成功したソマリランドの事例でしたが、小火器の規制という一見ミクロな課題が、国家レベルの安全保障に密接に関わっていることを改めて認識させられました。この辺の問題については講談社新書の『武装解除』が非常にエキサイティングなので、合わせて読むことを強くおすすめします。
武装解除  -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)

武装解除 -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)