悪鬼の種族 ISBN:4150103836

　海洋惑星ナンディ・クラインの野外生物学者ナイル・エッドランドは、一度人類に敗れ去った異星種族パラファンがこの星に潜入し、ふたたびハブ連邦への侵略を企てていることを知る。周辺海域の通信はジャミングされており、惑星政府への警告はできない。ナイルは浮標木の森林に身を潜め、パートナーであるミュータント狩猟カワウソと共に、パラファン族の侵略計画を阻止しようと孤独な戦いを開始する。海洋惑星の荒々しい生態系の知識を駆使し、拷問耐性を基準とする奇怪な権力構造を発達させたパラファン族の理論体系を逆手にとって、危険な心理戦争を仕掛けるのである。
　これもid:STRさんが見つけてくれた本。ずっと探してたんだけど、読んでみたら期待に違わず。面白かったー！　異星種族に大法螺を吹いて、圧倒的に不利な状況を覆そうとするのがわくわくします。非常に好み。なんでこれが長らく版元品切れなのかわかりません。著者のジェイムズ・Ｈ・シュミッツは、宮崎駿が表紙の『惑星カレスの魔女』で有名です。ほかの作品についてはこちらを参照。女性が主人公のスペースオペラが多いですね。『悪鬼の種族』もご他聞にもれず。そしてこの本に出てくるミュータント狩猟カワウソのかわいさときたら！　体長およそ７フィートから９フィート、滑らかな毛皮に覆われた強靭な筋肉で水中を矢のように駆け抜けるすばらしい戦闘生物ですよ。人語を使うことができるばかりか、毒や吹き矢、植物の棘の短剣まで独自に開発する、れっきとした知性種族でもあります。イタチ科好きな人には必読書と言えましょう。大満足。