スペシャリストの帽子 

 評判がいいので読んでみました。ハヤカワFTで出てるけど、いわゆる「ファンタジー」ではないです。SFマガジンに載ったり、ネビュラ賞取ってたりもするけど、サイエンスフィクションでもないです。どの短編もとらえどころがなくて、粗筋を説明するのが難しい。多彩なイメージが現れては消えていく作風は夢っぽいと言えなくもない。強いてジャンルに落とし込むなら幻想小説、かなあ。収録作はこんな感じ。

  • カーネーション、リリー、リリー、ローズ」
  • 「黒犬の背に水」
  • スペシャリストの帽子」
  • 「飛行訓練」
  • 雪の女王と旅して」
  • 「人間消滅」
  • 「生存者の舞踏会、あるいはドナー・パーティー
  • 「靴と結婚」
  • 「私の友人はたいてい三分の二が水でできている」
  • 「ルイーズのゴースト」
  • 「少女探偵」

 読んでる最中はわけわかんなかったけど、こうして振り返ると、なんだかどれも好きだった気がしてくる。地獄への行き方がかっこいい「飛行訓練」、死後の世界の描写に萌える「カーネーション〜」、一番ダークファンタジーしてる「スペシャリストの帽子」、ティプトリーっぽい「雪の女王と旅して」、クライヴ・バーカーが書きそうな「生存者の舞踏会」、一番理解しやすい人間関係のドラマ「ルイーズのゴースト」、小原慎司の絵で想像してしまう「少女探偵」と、印象深かったのはこの辺かしら。推薦の言葉に困るのですが、一読の価値があることは確か。お、感想リンクがあった。あわせてどうぞ。