廃墟ホテル

 廃墟と化したホテルに忍び込んだ都市探検家たちが恐ろしい目にあうスリラー。作者は『ランボー』の原作者として知られるデイヴィッド・マレルです。むかし早川モダンホラーから『トーテム』なんてのも出てましたね。お話はスピーディかつ、意外な展開の連続技で飽きさせません。惜しむらくは、中盤までのどこに連れて行かれるのかさっぱり判らない展開が、後半に至って比較的お行儀よく収束してしまうことで、もうちょっとはっちゃけてくれてもぼくはぜんぜんかまわないよ。(マイケル・スレイドの声色で) とはいえ、マヤの階段状ピラミッドを模して建てられたホテルの舞台設定は充分に魅力的。登場人物が廃墟マニアの一行なのも楽しいです。『苦悩のオレンジ、狂気のブルー』も探してみよう。

廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)

廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)