ゴジラ FINAL WARS

　いやあ面白かった。王子（id:emiri）と二人、可能な限り期待値を低く設定した上で観に行ったんだけど、意外なほど楽しめてしまったよ。明確に子供をターゲットに定めた上で、リベリオンやらマトリックスやらスターウォーズやらインディペンデンスデイやらのパクリを恥ずかしげもなくぶち込んで、タメをなくした展開の早い怪獣バトルとまぶして皿に盛って出来上がった、対象年齢に相応しい、湯気の立ちそうな興行作品でした。最近のゴジラ映画は期待するだけ無駄なものばかりだったし、たまに誉められてるのを見てみると、申し訳ないけど「特撮ファンは評価が甘すぎる」という感想をいっそう強化するだけの結果に終わるのが常だったので、楽しめたことに驚いてしまいました。チープな特撮、大袈裟でうさんくさい演技、なぜかそこらじゅうにいる格闘家などなど、ツッコミどころには事欠きませんが、それで萎えるということはなかったな。一番萎える危険があるのはミニラかなあ。あのラストシーンは大苦笑。臆面もなく、とってつけたように感動的なBGMが流れるので腹が痛かった。なんて図太いんだこの監督は、と変な感心をする始末。
　往年のベテラン東宝俳優陣の存在感は流石ですが、若手も結構頑張ってましたよ。特にケイン・コスギは目に見えて頑張ってた。うん。見ててハラハラした。松岡はちゃんと役者しててよかった。ハイパーな状態になったときの顔がキアヌ・リーブスにちょっと似てて、マトリックスがやりたかったからこのキャスティングになったのかなあと思ったりした。X星人のあの人は、怪演と言われてるけど、なんだかおはスタにでも出てきそうな感じで子供受けがよさそうでした。あと若くないけどドン・フライが出ずっぱりで、終始すごい異物感を醸し出していました。一人だけカプコンの格ゲーから出てきたみたいな。
　怪獣バトルの方もいろいろやってて楽しかったですが、耳を立てるキングシーサーがかわいかったのと、ヘドラの瞬殺っぷりと、エビラVS人間という悪い夢のようなシーンがあったのが印象に残りました。
　ダメだった点はゴジラのデザインで、特に顔がひどい。なんであれにOKが出たのか不思議。もう一つは音楽で、気の抜けたエンディングテーマは最悪。ただ、池袋のHUMAXで見たんだけど、上映前に今までのゴジラの作中の台詞なんかをリミックスしたマッドテープみたいなBGMが流れててあれはかっこよかった。どうもサントラには入ってないっぽいんだけど、何買えば聞けるのかな。
　最終的な評価としては、二度見たい映画とはいえないし、人に薦めるのも躊躇するけど、見ておいてよかった、という感じ。鑑賞後に話し合った結果、王子も僕も楽しめたのは、ほどよく愛がなかったからだろう、という結論に達しました。