錬金術師の魔砲

 我々の歴史とは違い、錬金術が発達を遂げた18世紀ヨーロッパ。科学が魔法の王として位置付けられ、英仏が魔術兵器による戦争を繰り広げている世界を舞台に、新大陸はボストンで暮らすベンジャミン・フランクリン少年と、ヴェルサイユに住む貴族の娘アドリエンヌの二人の冒険を描いたスチームパンク……じゃないな、アルケミーパンク? 設定や道具立てはかなり魅力的で、〈クラフトピストル〉や〈エーテルクライバー〉などの錬金術機械が出てくるだけで単純に嬉しくなってしまいます。錬金術はただ科学の置き換えというわけではなくて、世界法則のレベルから違います。史実では死ぬはずだった太陽王ルイ14世が、ペルシャの秘薬によって回復してフランスを統治してたり、クライマックスには世界全体に影響するほどの大スペクタクルが発生したりと歴史改変も大胆、というかもうすっかり別物。二人の主人公の章がテンポよく入れ替わりながら進む構成はリーダビリティが高くて読みやすかったです。しかし全体的に淡々としているのが困りもの。最後は派手なんだけどなあ。4部作の第1部ということで、食い足りなさが残る終わり方でした。嫌いじゃないんだけど、続き出るのかしらこれ。
 好きなキャラクターとしてはわかりやすくクレシでしょうか。もうね、プレイヤーが超マンチなの。剣は使うわサイオニック取ってるわでいい気になりまくり。ゲームマスターの苦い顔が浮かぶようです。アドリエンヌも捨てがたいので、ここはクレシ×アドリエンヌで一つ(ひどい感想)。