回転ドアと都市デザイン

 今までも事故が多かったことが明るみに出て、全国的に撤去の動きが出てきているようです(→参考)。件の死亡事故の悲惨さ(特に親御さんの心情)を考えるとしょうがないのかとも思いつつ、でもそこに、子供が死んだからといって一斉に公園から危険な遊具が排除されるのと同じメンタリティを感じて、嫌だなあと思わずにはいられません。僕は回転ドアのようなギミックが好きなのでなおのことです。そもそも都市は隅々まで安全な場所であるべきなのでしょうか。この問いが奇妙に聞こえるならばこう言い直してもいいでしょう。都市は人間の緊張感を根こそぎ奪う場所であっていいのだろうか、と。都市をデザインするにあたって、住人の安全を心がけるのは当然でしょう。しかし、すべての危険を排除することは不可能です。車道や駅のホームは回転ドアよりも確率的にはるかに危険です。自動的に動き続ける回転ドアにある程度の危険があることぐらい、見ればわかる話です。安全第一の精神に則って作られた都市が、住人を弛緩させ、日常的な危険の感覚を過度に失わせるのであれば、それはやはり有害な都市なのだと思います。
 つまりこれに懲りずもっと回転ドアを使った建築物が増えてほしい。連続する回転ドアだけで作られた通路などあれば申し分ありません。ゲームブック『スーパー・ブラックオニキス』のレベル3ダンジョンのように(→参考)。あそこは逆方向の回転ドアに体当たりし続けて死ぬ可能性のある恐ろしい場所でした。僕は小学校の国語か生活科の教科書にあの部分を抜粋して載せることを提言したいと思います。あれを体験した者は、二度と回転ドアに気を許すことはないでしょうから。