自分の声の認識について

 自分の声を録音したものを聞くと、自分で思っている(普段聞いている)声の響きとは違っている。これは今では広く知られているが、録音再生技術が発明されるまで、人類はこの事実をまったく知らなかったはずだ。鏡は自然界に同じ機能を見出すことができるが、録音再生機能を果たす自然物はない*1。そう考えると、これはテクノロジーが人間の自己認識を変革した画期的な事例だったかもしれない。

*1:強いて言うなら木霊があるが、木霊で返ってきた声の聞こえ方が自分の声と違ったからといって衝撃を受ける人はいないだろう。複数人の木霊を聞いて、自分の声だけどうも変だ、と気づいた人は、もしかするといたかもしれないが。