アバター

walkeri2010-01-08

 いやー実にいい感じのSF映画でした。90年代に青背で出て、その後たまーにフェアで復刊されるぐらいの立ち位置の、ちょっと地味な人類学SFっぽい(わかりにくい表現)。
 惑星の環境描写は素晴らしいです。可能なら絶対に3Dで観るべき。動植物の色使いが独特で、たぶん恒星の色が違うからとかいって、ライティングにもちゃんと設定があると見たね。飛竜の描き方も悪くない。小さい翼幅で人載せて飛べてるのは、大気組成が違うからか。崖にぶつかりそうになって、壁面をカカッと引っかきながらスライドしてる動作が目を引きました。
 ナヴィの身長が3mあるのも、人間と対比したときに絶妙な違和感があって素敵。ネイティリは人外ヒロインとしてしっかりかわいい。背中出してるので背中フェチは大喜び。ラブシーンは物足りない、そこだけへたれてるんじゃあないぜ。ちゃんとその変な器官を使え。あと大佐たくましすぎ、大佐の機体は縦シューのボスっぽすぎ。
 ストーリーが単純? いやいや、神話なんだからあれでいいのよ。ただ、神話の文脈として見てぬるいという評価はありだと思う。特に死の扱いが……あーでもどうだろう。接続してないときすべてを死の世界と考えれば、物語全体を通して、生と死を繰り返しつつ徐々に神聖なものへと近づくことになる。そう思うと、意外に面白い構造と言えるかも?
 しかし、風の谷からナウシカを取り除いて代わりに海兵隊員をぶちこむとああいう展開になるのか、というのが可笑しかった。えっ、そこお前が煽るのかよ、みたいな。個人的には宮崎アニメっぽさよりも、『エイリアン2』との共通点相違点が目につきました。セルフパロディというか、変奏曲というか、多分『エイリアン2』を撮ったときすでに、原住民側からの視点で撮り直すアイデアはあったんだろうなと思います。
 詳細に見ていくといろいろあると思うけど、一点だけ。
 『エイリアン2』のドロップシップのパイロット、憶えてます? 特に活躍することもなく死んじゃうんだけど、女性パイロットでサングラスかけてて、名前はフェッロ(Corporal C. Ferro)。










 ね? そっくり。
 つまりキャメロンは、グラサンの女性パイロットをもっと活躍させたかったと、20年間ずっと悔やんでいたんだよ!