ミスト

walkeri2008-05-12

 スティーブン・キングの作品の中でも、『霧』ほど長らく映像化が待ち望まれていたものはないでしょう。書かれてからもう四半世紀も経っていますから、ほとんど古典といってもいいかもしれません。影響を受けた人も数知れず。『サイレントヒル』はもともと『霧』のゲーム化企画だったらしいですし、菊地秀行『YIG』のようにアフター『霧』に挑戦した作品もあります。限定状況の緊迫感と、映像栄えする素材に加えて、世界観上の余白の大きさがたまらなく読者の想像を刺激するんですよね。ご多分にもれず僕も大好きな作品なので、目をキラキラさせながら行ってみたら……
 大 傑 作 でした。ハレルヤ!
 ラストが原作と違うとは聞いてたけど、あの料理の仕方は本当にお見事。もう最高というか最低というか、なんという底意地の悪さ! キングがGOサイン出したのも納得です。良くも悪くも、フルスイングで観客を殴りつける凄まじい映画でした。だってこの映画観て、「結構おもしろかったね」とか「まあよく出来てたんじゃないの」とか「普通につまんなかったよ」とかいう言葉、とても出てこないもの。
 色々語りたいんだけどダメだ。観てない人には具体的なことを言いたくない。映画が好きな人、原作が好きな人、ホラーが好きな人は是非観てほしい。ホラーというジャンル映画の土俵で勝負していながらここまでできるんだ! というのも衝撃的。映画館から出てくるときは、すごく喜んでいるか、すごく怒っているか、すごくショックを受けているか、すごく釈然としない顔をしているかのどれかでしょう。つまりは「感動的」な映画だということです。ゆっくりぶん殴られてきてね!