黒河を越えて (コナン全集 新訂版 4)

 新版コナン、この間出た4巻の表題作がとてもよかった。辺境の陰鬱な密林で、文明の前哨基地を襲うピクト人の大軍に抵抗するという、いつものパルプな作風とはまったく雰囲気の違うビターな一篇。「半裸の美女が出てこない」という一事をもってしても、シリーズにおけるこの話の特殊性は明らかです。頼りになる男たちがばたばたと討ち死にするハードな展開にわくわくします。
 コナンの旧版は読んでないので、今回の新装版が初読ですが、この巻だけでもお勧めできます。遺跡、怪物、美女な「いつもの」も二篇収録されており、こっちはこっちで楽しめます。今まで読んできた中でも一番面白い巻だったかも。

黒河を越えて―新訂版コナン全集〈4〉 (創元推理文庫)

黒河を越えて―新訂版コナン全集〈4〉 (創元推理文庫)