ドラえもんプラス(5)

　「プラス」の収録作には、どこかいびつな/お行儀がよくない/整い切っていない/不穏な/狂った短編がしばしば見られることはご存知の通りですが、シリーズ最後の５巻では、ついにあの「イイナリキャップ」が登場！　もうこれだけで必読です。「変ドラ」のす一さんがこの短編に横溢する狂気について素晴らしい紹介文を書いておられますが、あえてリンクしません。ぜひ実際に手にとってご覧ください。僕は声出して笑いました。ひどすぎる……。
　もちろん、そのほかの収録作も粒ぞろい。「いたわりロボット」の皮肉の強烈さは今なおまったく衰えていませんし、相互破壊戦略を子供のケンカに見事に移植した「ペンシル・ミサイルと自動しかえしレーダー」は、ブラックなオチに「異色」の隠し味が効いています。トリの「45年後…」は、シリーズの掉尾を飾るに相応しいしみじみとした一作です。いやあ面白かった。単行本未収録作はまだまだあるみたいなので、何かの機会にまた出してほしいなあ。

ドラえもん プラス (5) (てんとう虫コミックス)