みんな行ってしまう

 マイケル・マーシャル・スミスのホラーSF短編集。長編の派手さに比べて、随分と地味な印象ではありますが、楽しめました。一番SFらしい「地獄はみずから大きくなった」、上質な現代ファンタジーの「猫を描いた男」、自分の家を舞台にした理不尽な悪夢をそのまま書いたような「闇の国」、テーマパークもののホラーを二ひねりした「ワンダーランドの驚異」あたりが気に入りました。抑えた筆致でサスペンスを盛り上げるタイプの上品な話が多くて、スプラッタが苦手な人に向いてるかもしれません。

みんな行ってしまう (創元SF文庫)

みんな行ってしまう (創元SF文庫)