漱石の『こころ』と
後醍醐天皇の
建武中興(
建武の新政)を教材に取って、日本人の意識の根底に脈々と受け継がれてきた思想を解き明かす本。古文の引用が多くて読みにくいけど、後の方になるとだんだん慣れてきた。しかしやっぱり読みにくい。
finalventさんが紹介してたのをきっかけに買ってみたんだけど、いま見直してみたら、
finalventさんですら読みづらいと書いてて(
id:finalvent:20050414)ちょっと和んだ。さておき、いろいろ興味深い洞察を含んだ本だった。特に全体を貫くテーマである「則○○去私」の思想とか。象徴としての
天皇という概念は戦後にぽっと出てきたわけじゃなくて、日本人の歴史に根ざしたものだったというのは面白い。日本社会を動かす原動力はnullでvoidで
hollowな人々であった。動きの中心にどんな動機があるのか覗いてみると、「
ぬるぽ」と返ってくるのが日本社会である。日本のエンジンは
ぬるぽであり、
象徴天皇制は日本の中心に偉大なるnullを設置する制度だったのだ!
巻頭の解説で「著者はときどき適当なことを言ってるので気をつけろ」とか書かれてるのも趣深い。これからも折々内容に触れていくかも、いかないかも。