軍隊なき占領
軍隊なき占領―戦後日本を操った謎の男 (講談社プラスアルファ文庫)
- 作者: ジョン・G.ロバーツ,グレンデイビス,John G. Roberts,Glenn Davis,森山尚美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/03
- メディア: 文庫
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彼らがやったことは、紛れもない陰謀であり、金と利権にまみれた汚い仕事だ。しかしその評価は難しい。というのも、ジャパン・ロビーと、その手先となった日本側の走狗たちが、まさにその汚い仕事によって、戦後の日本を富ませてきたことも確かだからだ。資本主義の恩恵を受けて生活しているわれわれ国民が、自分を棚に上げて彼らを非難することは難しい。また彼らの手によって、日本が極東における反共の砦として作り変えられたのも事実だ。ジャパン・ロビーの反動的な働きかけがなければ、日本の共産主義勢力は現状よりもはるかに強力になっていたはずだ。
先ほど陰謀という言葉を使ったが、それは誤解を生むかもしれない。ジャパン・ロビーは何よりも利潤を追求するビジネスマンの集団だった。後世から見れば陰謀であっても、彼らにとっては単なるビジネスの一環にすぎなかったのだろう。ぼろぼろになった敗戦国をいまさら絞り上げてもなんの利益もない。極東に強力な資本主義国家を作り出し、長期的なビジネスのチャンスを得るほうが、彼らにとってはよほど合理的だったのだ。
読み慣れない分野を扱った本にしては非常に読みやすく、刺激的な本だった。日本の復興におけるアメリカの関わり方のパターンが大まかにつかめた気がする。東側を扱った同じような本を読んでみたくなった。共産主義陣営は戦後日本に対してどういうアプローチを取ったのか、いい本がないか探してみようと思う。