中国新鋭の駆逐艦、東シナ海ガス田付近で確認

 巡航ミサイルを搭載した中国海軍のソブレメンヌイ級駆逐艦2隻が、東シナ海で中国が開発を進める「春暁ガス田群」付近の公海を航行しているのを、海上自衛隊のP3C哨戒機が22日夜、発見した。
 中国海軍の最新鋭艦である同駆逐艦の航行が日本の監視海域で確認されたのは初めて。日中両国が天然ガス開発などをめぐり対立している海域であることから、防衛庁は「海洋資源の獲得に向けた中国の示威行動ではないか」(幹部)と分析している。
 2隻は、沖縄県久米島の北西約400キロ・メートル付近を補給艦1隻を伴って北東に航行していた。日本が主張する排他的経済水域EEZ)の境界線(日中中間線)に近い中国側の海域だった。24日現在は中国近海に戻っている。
 同駆逐艦はロシア製で、1999年と2001年に中国に引き渡された。

 finalventさんのid:finalvent:20050125#1106608476で知ったニュースだが、「最新鋭艦」というがどれほどのものなのか、興味を持って調べてみた。
 まず今回の件に関する海自のニュースリリース。P3-Cからの空撮写真あり。それからいつも参考にさせていただいている「UNITED DEFENCEソブレメンヌイ級のスペック。基本情報を見てから他の検索結果をブラウズしてると、こんな文章が引っかかった。

次に、気になることをちょっと申します。じつは昨日、アメリカの友人が、ロシアが中国へ輸出したソブレメンヌイ級駆逐艦のミサイル発射試験の写真を8枚、インターネットで送ってきました。ソ連駆逐艦が輸出されて、ついに上海についたというのです。「日本にとっては脅威だろうね」と言うのが、へリテージ財団にいる友人からのコメントでした。これは、中国とロシアが、コンチネンタル・バリューで結合しつつあるということです。
これに対して、日本、NATOアメリカなどのマリタイム・バリューという価値観を共有する国家が連合しないと太刀打ちできないと思います。マリタイム・バリューは、海洋文明、海洋法体系という言葉で置き換えてもいい。
そこでまたちょっと気になりますのが、韓国がロシアのK型潜水艦を3隻輸入したことです。これは、ロシアに対する過剰債務の見返りですが、これで韓国はドイツから6隻とロシアから3隻、計9隻を保有し、潜水艦王国になる。韓国とロシアの武器のつながりができてきている。韓・中・ロシアという大陸国家連合が、日本に対する戦略的パートナーシップで結ばれる構図が、まごまごしていると出てくるかも知れない。

 上記のページにはこうも書かれている。

「ソヴレメンヌイだけでは、射程距離が何十マイルあってもミサイルは撃てません。あれ自身のセンサーは20〜30マイルです。航空機が組み合わさったときに初めて力を発揮するのです。ソヴレメンヌイのミサイルを過剰評価することはない」

 そうなのか? と思って、ソブレメンヌイ級の武装を特徴付けるSS-N-22サンバーン艦対艦ミサイルの誘導方式を調べてみた。途中までは慣性航法、終端ではアクティブレーダー・ホーミング(ARH)である由(パッシブレーダーも併用するようだが)。慣性航法装置(INS)はジャイロと加速度計により外部の無線等の援助無しに自機位置や速度等を知るARHは母機からの誘導が必要ない(←真っ白な画面ですが全選択で読めます)。「航空機が組み合わさったときに初めて力を発揮する」? 最初の目標発見に航空機が必要だという意味なんだろうか? この辺のニュアンスはよく判らない。スペックどおりの性能だとすればかなり優秀な対艦ミサイルに見えるけど……。と思っていたらこんな意見も。

ソブレメンヌイ級(ロシア名・サリュート型)ミサイル駆逐艦は、別に最新鋭艦などではなく、
1番艦が完成したのが1980年ですから、もうかれこれ20年以上前の、やや旧式な艦です。中国に
引き渡される「杭州」の写真を見る限りでは、20年前の1番艦(ソブレメンヌイ)と大した違い
は無いようです。
また、同艦が搭載する超音速対艦ミサイル・ラードゥーガ3M80"モスキート"にしても、確かに
ロシアが誇る強力な対艦攻撃兵器には違いありませんが、これで米空母を攻撃するなんて絶対に
不可能でしょうね。モスキートの射程距離は最大で120km、米空母に搭載されている艦載攻撃機
F/A-18ホーネットの戦闘行動半径は550km、更に同機が搭載するハープーン空対艦ミサイルの
射程は200km。これでは、駆逐艦がミサイルを発射するよりも、空母艦載機が駆逐艦を撃沈する
方が早いでしょう(笑)。
台湾海軍だけが相手ならば、むろん米海軍相手よりは楽にはなりますが、なにしろ、「杭州」以外
の中国軍艦が、博物館行きの超旧式艦ではねえ・・・・(笑)
杭州」ただ1隻を残して他の艦が全滅するという事も考えられますな(笑)。

 しかし中国(の軍部?)は、この艦を政治的な道具として使う気満々のようで、購入から間もない2000年の台湾総統選挙の際、ソブレメンヌイ級は早速台湾海峡に姿を現している。あまり関係ないかもしれないが、2001年の米中機接触事故に関して、米軍のソブレメンヌイ級に対する情報収集活動が切っ掛けという話もある。
 で、今回は東シナ海のガス田に睨みを利かせにやってきたわけか。ふうん。別に何か劇的な事実が判明したというわけではないけれど、周辺事情はおぼろげに掴めた感じ。さて、日本はこの示威行為をうまくいなして、領海内の資源を護ることができるのでしょうか。