ふたりジャネット ISBN:430962183X

walkeri2004-05-14

 河出の奇想コレクションから出たテリー・ビッスンのSF短編集。面白ーい。実に不思議な感じの話ばかりで、一言で表すなら、「素っ頓狂」……かな? 特に気に入ったのは「熊が火を発見する」(熊が火を発見する話)と「英国航行中」(英国が航行する話)。タイトルどおりの話なんだけど、語り方がなんともすっとぼけていて、一体何をどう考えてこう書いたのか見当もつきません。あとかっこよかったのは「冥界飛行士」。人工的な臨死体験によって死後の世界を見ようとする実験の話で、他がユーモラスな話ばかりの中、一つだけ陰鬱でグロテスクな雰囲気を漂わせています。しかしこの表題作はなんじゃこりゃ。話自体変だし、これを表題作に持ってくるのもよくわかんない。つくづくとぼけた本であります。
 とにかく読んでいて純粋に楽しい短編集で、かなりおすすめ。他の人の感想はえんじさんの読書日記(2004/5/12)にまとめられていますので、ご参考までに。