順列都市

 再読。無限の計算領域を生み出す詐欺みたいな理論を基にした、アクロバティックなハードSF。最初に読んだときは狐につままれたような気がしてたけど、読み返すと結構憶えてた。初読時とは違って、今の自分はまがりなりにもプログラミングに手を染めているので、新しい視点から見られていろいろ面白かった。塵理論の言う無限の計算領域がどれだけすごいものなのか(というか爆笑ものの大法螺だ。最高)とか、フリーでプログラム作って生活してるマリア・デルカの暮らしは大変だなあとか、そんな状況で高い料金払ってネットゲームしてればそりゃ切羽詰まるわとか(笑)。しかし難しいことには変わりはなくて、頭の中で思考を転がしながら読むのが気持ちいい。でもやっぱり難しい。解ったふりはしますまい。板倉さんの塵理論解説(id:ita:20010927)とかゲームブックを例に出したflurryさんの解説とかセル・オートマトンに焦点を当てた水城徹さんの感想とか読み返して感心したり唸ったり知恵熱出したりしています。
 関係ないけど、この表紙好きです。本文の文字サイズもちょうどいい。このころはSFマガジンの表紙もよかったな。もう5年も前になるのか。なかなか感慨深くあります。