マンハッタン狩猟クラブ ISBN:4167661594

walkeri2004-03-30

 冤罪で逮捕された青年が拉致され、人間狩りの獲物として都市の地下の迷路を逃げ回る。追手は完全武装した狩人たち、その名も「マンハッタン狩猟クラブ」! わくわくする設定です。獲物は残忍な犯罪者だと思われているので、地下世界に住むホームレスたちも味方にはならないし、そればかりか「牧夫」として追い立ててくるのでどうしようもない。同じく獲物として主人公の道連れとなる男ジャガーは、ちょっと頼りになりそうだけど、冤罪じゃなくてほんとに殺人鬼なのでもうだめぽ。ストーリー展開も巧みで読ませます。この設定ならもっと盛り上げられるだろうに、とも思っちゃいますが。いろいろ勿体無い部分も目に付きました。
 そういえばこの本、カバーの折り返しに既刊が紹介されてるんですが、その名目が「文春文庫 地下世界サスペンス」。ラインナップはこの本と『アンダードッグス』『ユートピア』『闇の中の光』でした。そうか……文春文庫には地下好きがいるんだな。これからも頑張ってください。買うので。

『マンハッタン狩猟クラブ』によると、マンハッタンの地下で生活しているホームレスは五万人とも言われるそうな(※ただし推定人数には大きく幅あり)。駅でテロ対策のために塞がれたゴミ箱を見て、これで生計の道を失った人も多いんだろうな、と思ったりしました。