収容所惑星 ISBN:4150106797

 調査員マクシム・カンメラーが不時着した惑星は、放射能にまみれて無残に荒廃した世界だった! 地球へ帰還するために、マクシムはこの星の異様な社会の中へ分け入っていく……というお話。ムゥフーン、地味ながら面白い。〈紅蓮創造者〉と呼ばれる奇妙な支配者層、錆だらけの車体を軋ませながらうろつく無人の戦車、なぜか弾圧の対象となっている「奇形人」、林立する目的不明のタワー、白い潜水艦などなど、陰鬱な道具立てが魅力的。しかもちゃんと冒険小説で、上にあげたガジェット群もいちいち活用/謎解きされたのが意外でした。主人公強いのも意外。速水さんから聞いてたけど、確かにこりゃ墜落世界っぽいや。あとすごいストレートな毒電波SFでもある。「鬱線」っていい言霊だなあ。
 一応ISBNは書いておきますが目録落ちです。『蟻塚の中のかぶと虫』『波が風を消す』と一緒に復刊してほしい。