キル・ビル
アホか―――ッ!(笑)
いやはやなんというか。好き勝手やってるとは聞いてたけど、まさかこれほどとは。過去のタランティーノの小洒落たイメージを想像して行くとずっこけます。徹底的に泥臭くて安っぽくて、しかもそれを意図的にやってるという性質の悪さ。タランティーノがこの映画を指して、おれの脳内映画的宇宙の物語だとコメントしていますが、言葉通りに受け取って構いません。奴が好きな過去の作品の要素のつぎはぎだけで作り出された超B級娯楽作品です。ここまでくるとパクリとかリスペクトとかオマージュとか何を言うのもバカらしい。厨房映画で童貞映画でアホ映画で、なによりも愛に満ちている。映画に対する愛に!
多分この映画は、事前情報をある程度仕入れて観に行ったほうが楽しめます。原作を知らない人が指輪映画を観に行くのと同じような感じ。とんでもなく濃い*1ので、白紙の状態で観ると笑いどころが掴めなくて辛いかも。ネタバレとか、あんまり関係ないです。ストーリーはあってなきが如しだし、それぞれの小ネタも、文字で解説されているのと、実際に画面で見るのとではインパクトが違います。映画冒頭のショウ・ブラザーズのマークが出るところなんて、知ってても笑っちゃったもの。
Vol.1の大きなキモである日本描写についてですが、おそらくあなたが予想している以上に、登場人物が日本語を喋りまくります。すげえ居心地悪いです(笑)。いや、めちゃくちゃ頑張ってるんですよ。でもその頑張りに比例して、破壊力も天井知らず。笑えるんだけど、観終わってどっと疲れます。体力の要る映画です。耐性のない人は怒るわな、これは。
役者も濃い役&濃い演技が揃ってますが、女子高生殺し屋ゴーゴー夕張を演じる栗山千明が、思っていたよりずっとまともでした。いや待て。あれがまともとか言ってる時点で何かが致命的に間違っている。という声もありますが仕方がない、ほんとなんだから。殺陣もよかったし。あと、ジュリー・ドレフュスはこの映画で一番おいしい役どころだと思う。いろんな意味で大活躍。Vol.2でも出てきてほしいなあ。
結果として、期待は裏切られなかったといっていいでしょう。というか予想の斜め上を行く出来に呆然としつつ拍手喝采であります。タランティーノ、あんた最高だ。最高のバカだ。また行くよ! ブラボー!