ハンテッド〜足跡鑑定のプロフェッショナル トム・ブラウンの事件ファイル ISBN:419861685X

ちょっと前に読んだけど紹介しそびれ。著者のトム・ブラウンは結構有名な人らしいですが、今まで全然知らなんだ。白人ながら、7歳の頃にリパン・アパッチ族の古老ストーキング・ウルフに出会い、足跡追跡をはじめとするレンジャースキルをみっちり叩き込まれ、以来トラッカーとして生きてきたというすごい経歴の人です。
この人の見ている世界が半端でなくすごい。彼の目から見ると、世界は生き物の残した痕跡で満ち溢れています。その痕跡は、それを残していった生き物のところまで辿ることのできる糸のようなもので、しかもそれらはすべて互いに関係しあっています。指輪の映画でアラゴルンが高レベルレンジャーっぷりを発揮してましたが、あのくらい朝飯前といった感じ。コンクリートの上の乾いた埃に印された足跡を追うとか、上空を飛ぶヘリから地上の足跡を追跡するとか、あっけに取られるようなことが平気で書いてあります。ちょっと想像も及ばない世界観です。
また、トラッカーとして生きている彼にとって、トラッキングは人生そのものです。道を歩いているときのみならず、車に乗っているときも、映画を観ているときも、常にトラッキングしています。身に付けた身体技法がものの見方、生き方まで変えてしまうという点で、東洋の古流武術を彷彿とさせますね。トム・ブラウンはアメリカでトラッカー・スクールを開いているそうで、僕はかなり習ってみたくなりました。
なお、この本は映画『ハンテッド』の原案で、映画にもトム・ブラウン自身の監修・指導が入っているとのこと(→参考)。で、この本には映画のストーリーの元になったエピソードも載ってます。実話だったのか!