キング・コング

walkeri2005-12-24

 面白かったー! やりたい放題だなピーター・ジャクソン! でっかいクリーチャーが惜しげもなく出てくる、最高の怪獣映画でしたよ。ただ出てくるだけじゃなくて、これでもかとばかりに動いて人間と絡みまくるのが嬉しい。アクションと殺陣も素晴らしく練られていて、事態がどんどん悪くなるクリフハンガー・アクションの基本を忠実に守ってるんだけど、その執拗さは笑えるくらいです。特にコングVSティラノサウルスのシークエンスは息つく暇もない凄まじさ。怪獣映画であんな凝った殺陣見たことないよ!
 物語の舞台となる髑髏島は、密林の中を猛獣怪虫がうろつき回るたいへん魅力的な秘境です。秘境に欠かせないステレオタイプな原住民も配備されており抜かりありません。21世紀に撮られたとは思えない全開の原住民描写がもう最高。あの島にポリティカル・コレクトネスを伝えにきた伝道師は一人残らず喰われたのでしょう。原住民との心の触れ合いなんか薬にもしたくないぜ! という監督の意気込みが伝わってきます。木と石で作られた巨大構造物もとてもよいです。
 まあ、全編通していちばん気合が入っていたのは谷底のシーンですけど。あそこだけベルセルクの「触」みたいでした。あんな凄絶なシーンに作劇上まったく意味がないのがいっそ潔い。おめえただ虫出したかっただけだろうと。
 コングの動きと表情はとても精妙です。WETAもすごいけど、モーション担当のアンディ・サーキスはマジ神。ゴリラの動きを研究するためにルワンダまで行ったと聞いて、あの男もたいがい死狂いだなと思いました。
 人間の役者陣も魅力的で、僕は「いい面の皮ナンバーワン」のエイドリアン・ブロディに感情移入してましたが、なんといっても「ザ・フィルムメーカー」ジャック・ブラックの存在感は大きいです。愛する者を破壊せずにはいられない業の深さに感じ入る人も多いでしょう。
 絶対に映画館で観るべき傑作です。あと長いので上映前にトイレマジオススメ。