裁判員制度、7割が「参加したくない」…内閣府調査

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050416-00000011-yom-pol
 yahooは記事が消えるので全文引用します。

 国民が刑事裁判に参加する「裁判員制度」について、7割の人が「参加したくない」と考えていることが16日、内閣府が発表した「裁判員制度に関する世論調査」の結果で分かった。
 裁判員法成立直後の昨年5月に読売新聞社が行った世論調査でも、7割が「参加したくない」と答えている。制度は2009年5月までに実施することが決まっており、現在は周知期間にあたっているが、制度に対する国民の理解が一向に進んでいない実態が浮き彫りになった。
 調査は今年2月、全国の成人男女3000人を対象に行い、2077人(69・2%)から回答があった。
 裁判員制度が始まることは、71・5%の人が「知っている」と答えた。
 しかし、「裁判員として刑事裁判に参加したいと思うか」の問いには、「参加したくない」(35・1%)と「あまり参加したくない」(34・9%)を合わせ計70・0%の人が参加に消極姿勢を示した。「参加したい」「参加してもよい」は計25・6%にとどまった。
 参加したくない理由(複数回答)では、「有罪・無罪などの判断が難しそう」(46・5%)と「人を裁くということをしたくない」(46・4%)が上位を占め、「国民の司法参加」という制度の根幹にかかわる部分を理由に参加に消極的な人が目立った。「仕事に支障」(19・9%)「面倒」(17・4%)「家事に支障」(10・0%)などは比較的低率だった。
 「参加したい」と答えた人を男女別で見ると、男性が33・0%だったのに対し、女性は18・8%だった。年齢別では20歳代で34・7%。以下、30歳代が32・2%、40歳代が27・3%。年代を追うごとに参加意識の低下が目立った。
 今回の結果について、法務省裁判員制度啓発推進室は「数字は真摯(しんし)に受け止めている。参加したくない理由を見ると、参加の意味を真剣に考えてもらえているので、理解を得られるよう努力したい」と話している。

(読売新聞) - 4月16日19時0分更新

 いつの間にか出てきて勝手に実施が決まっている裁判員制度ですが、これ、えらい奇妙なんですよ。
 ちょっと前に調べてみたことがあるんですが、この制度案、法務省じゃなくて日弁連から出てるんです。現状の司法制度をもっとオープンにするのは賛成ですが、国民を直接司法の場に参加させるとなるとぜんぜん話が違います。いきなり量刑にまで関与できるようになるんですよ。空気を読むことを美徳とする日本の一般人が、公平なジャッジとしての役割を果たせるとは思えない。プロがだらしないからアマチュアを投入するって、どう考えてもおかしいですよ。先にプロの質を上げようとするのが筋でしょう。アンケートの結果は当然といえます。
 だけど、なぜかこれを推し進めたい人たちがいる。
 この制度の成立過程で、日本新聞協会などの反対によって、法案からマスコミの偏見報道禁止条項が削除されているというのも気になるところです。
 該当するのは裁判員制度・刑事検討会の第31回会合議事録

 なお、たたき台では裁判の公正を妨げる行為の禁止として、何人も裁判の公正を妨げるおそれのある行為はしてはならないという義務と、報道機関が事件に関する報道を行うに当たっての配慮義務に関する項目の記載がございました。議論の素材を提供するという観点で、そのような項目についても記載をし、御議論をいただいたところでありますが、御議論を踏まえまして、この点に関する法律上の措置は行わないということにした次第であります。(強調引用者)

 その「御議論」が第17回会合議事録で読めますが……裁判の公正を妨げる報道の自由なんて、要りますか?
 ちなみに、この回のマスコミ側の参加者も、なんというか、「香ばしい」人が混ざっています。名前でググって見るとよいでしょう。
 記事ではこの制度、「2009年5月までに実施することが決まっており」と書かれてますが、まだ間があるので今のうちに廃案に追い込んだほうがいいと思いますよ。人権擁護法案よりもこっちの方が心配です*1。こんな制度、誰も幸せにならんですよ。

*1:人権擁護法案自民党案については、いろいろ調べるうちに大丈夫っぽいと見切りをつけました。id:plummetさんのとこの議論など読んでみるとよさげ