年末年始サタスペ拾遺

 昨年末、コミケの終わった夜にサタスペのセッションに参加した。作ったキャラクターはとってつけたようなネコミミ亜侠の「黒猫リッチバター」(24、♂、パナマ人)。特にネコミミ好きでもないのになぜこんなキャラになったかというと、ゲーム前にその辺にあった『けだものカンパニー』を読んで黒ネコ社員が印象に残ったからなのだった。あと『キャット・シット・ワン』の影響もちょっと。リッチバターは机の上にあったクッキーの商品名。
 まず一本目、コミケで買ってきたばかりのシナリオ(ネタバレ回避のためシナリオ名は省略)。官庁街で開かれるパーティに潜入するということで、相応しい服を調達しなければならなくなった。ところが生活キャラが軒並み買い物判定に失敗。どうしようかな、というところで黒猫リッチバターが言い出した。「みんな、俺たちは犯罪者なんだ。買い物なんかしないで、クリーニング屋から盗めばいいじゃないか」つまりはルールに則った判定で失敗したので、ノールール領域に踏み込んでうやむやに成功に持ち込もうと企んだわけである。しかしそうは問屋が下ろさなかった。ノールール領域だと思っていたそこには、ギャンスタの襲撃ルールが待ち構えていたのだった。一行はシナリオから横道に迷い込み、官庁街のクリーニング屋の恐ろしさを味わうことになる。忍び込んだ店内に続々と現れる番犬。足元で口を開く落とし穴。時間とともに増えてゆく監視カメラ。唸りを上げる「バールのようなもの」。なんとか礼服を盗み出して逃げようとする亜侠たちを店主のZ老人(ゼータろうじん。拡散メガ粒子砲とか撃つおばけ)が空を飛んで追ってくる。「やっべえどうしよう。メガ粒子砲撃たれたら全滅するよ」(←なんのゲームだこれは)「なんとかならんかな。Z老人のスペックは……あ! サビシガリヤの趣味持ってる!」ということで「風俗のプラチナチケット」を差し出してお引き取り願うことに。ほくほく顔で帰っていくZ老人であったが、そもそもの元凶である黒猫リッチバターには冷たい視線が突き刺さる。その後のミッションには成功したが、黒猫リッチバターのパッケージは「ダメ人間」であった。
 この時点で眠かったのに、続けて二本目の『サタスペナイン』に参加。寄せ集めメンバーで黄龍会の侠客チームと野球をするシナリオだ。しかし開始まもなく眠気は頂点に達し、机に頭を打ちつけるなどの抵抗も虚しくついに沈没。グラウンドの上で丸くなっていて、球が飛んで来たときだけ起こされて、キャット空中大回転、とか呟きつつジャンプして捕球する奇妙な生き物と化していた。ようやく目を覚まして起き出したときには、侠客のラフプレイによってチームメンバーは血まみれ。ぼーっとしているうちにシナリオは終わった。もらったパッケージは当然のごとく「ダメ人間」であった。
 こうして2004年のサタスペ納めはダメ人間二連発で幕を閉じた。
 開けて2005年の1月9日、同じ黒猫リッチバターでツミガリ用シナリオ『復讐するは我にあり』に参加。ダメ人間は代償がキッツイのでもうこれ以上取りたくない。というかもう寝ない。という意気込みで臨んだが、失敗してはいけない情報収集で見事にファンブル。「それはありえない! 「事前の準備」を使います」と言ったのが13歳のアフリカ人ゴス少女亜侠クリス・ニエレレであった。ニエレレもちょっと前に恋愛の情報収集にファンブルして、表を振った結果妊娠していたのだが、「情報収集してる黒猫のところにバーンと扉を開けて飛び込んできて言います。「私妊娠しただよ! 旦那様の子ですだよ!」」「げ、げえーっ」「それでびっくりして、ファンブルする直前に情報収集の手を止めてしまうということで」
 そういうわけで、互いにまったく愛情をもっていない二人がカップルに。
「旦那様は見るからにカモだから(←ダメ人間の代償で「カモ」を取ってる)、その札束は私が預かるだよ」
「うん、じゃあお願いするよ」
「買い物行こうよニエレレ! 38式(歩兵銃)買ってよ!」
「旦那様はほんとに38式が好きですだね」
 ……などといったラブい会話を交わしたりしつつ淀川バンド公園で「告白」に挑戦するも失敗。まったくもって冴えない黒猫である。最後の戦闘では、「鉄壁」持ちのニエレレが黒猫をかばうという、ごく正当な行為をしただけで、「13歳の身重の妻が24歳の旦那をかばって銃弾を受ける」というひどいシチュエーションが生まれることに。なんも悪いことしてないのに白い目で見られる黒猫。ずいぶんあがいたのだが、もらったパッケージはまたも「ダメ人間」。ダメ人間×3という未踏の境地に踏み込んだのであった。
 ちなみにニエレレにはフェイクラッパーのBW・メタルスという恋人がおり、お腹の子もメタルスの子ではないかという疑いが持たれているが、黒猫はカモなので気付いていない。