フォーン・ブース

 ニューヨーク8番街にただ一つ残った電話ボックスを舞台に展開するスリラー。面白かったー。緊迫感を維持したまま、81分できれいにまとまった佳作です。主演のコリン・ファレルが実に達者で、どうしておれがこんな目に、とだんだんヤケになってくるのが観客の気分とシンクロして気持ちいいです。見る見るうちに状況が悪化するサスペンスの盛り上げ方も上手。頭上のアレのシルエットが見えたときはギャーと思いましたね。設定だけ見ると舞台劇になりそうですが、この辺の演出は映画ならでは。
 本筋とはあんまり関係ない話ですが、携帯電話がステータスの象徴だという冒頭のナレーションにちょっと意表を突かれました。ニューヨークの住人のうち、300万人が携帯電話を使用している――と聞くといかにも多いけど、全人口は800万人なんですよね。移民や貧困層は携帯電話を使うことができず、(数が減りつつある)公衆電話を使用しなければならない。なるほど、言われてみればその通りです。携帯電話が当たり前という前提でものを考えるのはちょっと危険だな、と思いました。かくいう僕も半年前にようやくPHSを買った口ですが、一旦使い始めると、意識することはほとんどなくなりますね。面白いもんです。