キャッスル・ファルケンシュタイン ISBN:4434033867

速水さんが強く推してたので買ってみたスチームパンクRPG。確かにこりゃ面白いね。実に本の半分がカラーページの世界設定パートという贅沢な作りにびっくり。残り半分のルールパートを見ると、これでもかというくらい気が抜けた白黒イラストに別の意味でびっくりしますが。これだけ凝った装丁で主線しか描かないイラストレーターを使うのはどうなのよ、ねえ。カラー絵の方が素晴らしいのでギャップがすごい。
実はこの本、スチームパンク異世界に魔法で召喚されてしまった現代のゲーム会社の原画担当が書き記したという設定になっていて、これが随所にユニークな味を出しています。世界設定のみならずルール部分も例外ではない、というか、ファルケンシュタイン世界で(「原著者」と英国皇太子によって)作られたゲームのルールとか言ってて。判定にダイスじゃなくてトランプを使うのは、「紳士淑女は骰子遊びなどという下賎なことはしない」からだとか! このトランプを使ったシステムがトーキョーN◎VAのパクリなのは有名*1ですが、後付けとはいえちゃんと理由があるのは天晴れと言うべきでしょう。
ほとんど全ての文章が旧仮名遣いなのが不評だと聞きますが、いや別に読めるだろうこんくらい。古語で書かれてるわけでもあるまいし。むしろこれを軽々しく「読みにくい」と言って恥じないのが嘆かわしい。ゲーマーとしての矜持とかほら、もっとこう、ないの?
とはいえ不満はないことはなく、英語でかっこよく見えた紙面が翻訳した途端かっこ悪くなる典型みたいになってしまってるのは残念。明朝体で字間が広いとどうしても間延びした印象になっちゃうね。ゴシック主体の方がよかったんじゃないかと思ったけど、なんでもゴシックだと旧字が明朝に比べて少ないんだとか。なるほどー、じゃあしょうがない。
今なら映画公開にあわせて、"The League of Extraordinary Gentlemen"みたいなシナリオで遊ぶのが面白そう。読んで楽しいルールブックに仕上がってるので、スチームパンク好きは買って損はないと思います。
 

*1:都市伝説みたいなものでは、との話もあり。パクリだなんだとあげつらうのはつまんないので、個人的にはどっちでもいいのですが(なら書くな、と言われればその通りだ。すいません)