栄光への飛翔・復讐への航路
秀さんの紹介で興味をそそられた「若き女船長カイの挑戦」シリーズの1・2巻。どう表現したらいいのか、変な小説でした。話は地味で、新奇なギミックもなく、センス・オブ・ワンダーなんて全然感じられないのに、やけに面白いんですよ。
1巻では、オンボロ貿易船の船長に就任した主人公カイラーラ・ヴァッタ(カイ)が、次々と降ってくるトラブルを捌きつつ、乏しい資金をやりくりしながら貨物輸送の仕事をこなしていくという、RPG『トラベラー』そのまんまの地道な冒険が描かれます。2巻ではヴァッタ一族を標的に定めた謎の敵が現れ、カイも命を狙われるという緊迫した状況で幕を開けておっと思わせますが、急転直下というわけでもなく、その後の展開も淡々としています。なのに面白いし、どんどん読めちゃうんですよねえ。不思議不思議。
自分が特に楽しく読んだのは2巻でしたが、この本、630ページある本編のうち、なんと実に2/3が、軌道ステーションに船を停泊させたままでの情報収集・人材確保・物資調達・契約締結・保安強化の描写に費やされています。つまり、謎の敵の攻撃を警戒しつつ、いざ行動するというときのために、400ページの長きに渡ってずーっと準備しているわけです。「緊迫した状況での出港準備作業」の描写にこんなに紙幅を割いてる小説って、ちょっとほかに読んだ憶えがありません。しかもこれがちゃんと面白いんだから侮れない。400ページの「準備」を退屈させずに読ませるってすごいことですよ。
細かいところでは、秀さんの書かれているとおり、接近戦描写がさりげなくえげつなくてよろしいです。1巻なんかメインウェポンがクロスボウ・ピストルだもんな。痛そう。2巻最後の戦闘が終わったあとの血の描写も妙に丁寧で感心しました。書いてるのが60歳のおばあちゃんだと思うとなかなか愉快。続きも楽しみです。
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中国の旅行者が撮った北朝鮮
http://www.militaryphotos.net/forums/showthread.php?&p=1386822
柳京ホテルを捉えた写真が素晴らしい。大都市の真ん中にそびえ立つ高さ300m超の廃墟。たまらん。