沖ノ鳥島爆破指令

沖ノ鳥島爆破指令 (中公新書)

沖ノ鳥島爆破指令 (中公新書)

海洋法第121条第3項
人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。

 それなら人が住んでいればいいのだ。という都知事の一声で、元海事の都庁職員一家が沖ノ鳥島に赴任、毎日沖ノ鳥島ブログを更新しますよ。しかしそこへ沖ノ鳥島爆破の任を受けて某国に雇われたPMFのコマンド部隊が! というお話。はははは。面白いんじゃないでしょうか。実際には島の上に家を建てるわけではなく、オイルリグみたいな観測施設に居住するわけですが、ダイ・ハード的舞台設定としてはかなり秀逸だと思います。4メートルの波が打ち寄せる大時化の夜、絶海の孤島というか岩礁をめぐって幾つもの集団が右往左往する様子は馬鹿馬鹿しくも楽しい。敵味方とも天気のせいで作戦が頓挫しまくりなので、どっちかというと人間よりも大荒れの天候が主役という印象を受けました。旬のネタをいいタイミングで料理した小説だと思います。映像化しても面白いんじゃないかな。あとこの表紙、青と黒のコントラストが鮮やかでちょっと好きです。