サタスペ:はだかの野獣少年団 第一話(タイトルなし)

 最近久しぶりにサタスペのキャンペーンを遊んでます。新版開発中には何度かテストプレイに参加してたけど、発売されてからは初めて。DDは河嶋さん。
 とりあえずチーム名をランダムで決めたら、「はだかの野獣少年団」になった。
「英語にすればビースティ・ボーイズだ! かっこいい」
「なにも問題ないね!」
「見事なチーム名だと感心するがどこもおかしくはない」
 ダイス振ってごろごろとキャラメイク。できた面子は以下の通り。
■テキサス・サンジュウロウ(♂、37歳、アメリカ出身)
 荒事屋。かつてはマイナーリーグで鳴らした強打者だったが、流れ流れて大阪の草野球界で雇われバッターをしている。いまでは体重も200kg近くまで増え、見る影もない。代打だけでは食えないため亜侠になった。
 プレイヤーは迷宮キングダムでもおなじみのイラストレーター、岡本喜劇さん。
■ナガマワシ・ココイチ(♀、14歳、サウジアラビア出身)
 マネージャー。アニメとマンガにかぶれて大阪にやってきた、サウジの王族ナガマワシ家の娘。ムスリムなのにスタイルがゴスなので、イスラムゴシックという奇怪なジャンルを単身開拓しつつある。金持ちなのに亜侠にあこがれて汚れ仕事に手を染める。
 プレイヤーは魚蹴
バロックウィッシュルーム(♂、13歳、ロシア出身)
 リーダー。サンクトペテルブルグから大阪に流れてきた前のめりなストリートチャイルド。最年少ながらチームを率いる気満々である。このチームが彼の団、であるならば、彼こそは「はだかの野獣少年」なのだろう。
 プレイヤーは「皆殺しの」池田朝佳さん。
■野村テトラポット(♂、38歳、日本出身)
 技術屋。東淀川大学(大阪の誇る低ランク大学)で児童文学を研究する学者。正式には「野村天虎歩人」。通り名の「機動戦士シューティングスター」にちなんで、ハンドルネームは「S☆」。アベレージ90Kの野村斬々舞と同じ野村一族の出だと思われる。離婚した妻が置き去りにした娘を養うため、亜侠稼業に。
 プレイヤーはサタスペルールブックの異能絵などでおなじみのパ先生。
■ナターリァ・コロリョフ (♀、21歳、ロシア出身)
 参謀。バレエ学校の練習の厳しさに耐えかねて逃げ出した過去を持つ元バレリーナの路上生活者。高所恐怖症なのでリフトされるたびに悲鳴をあげる、というのは練習の厳しさがどうとかいう問題ではないような。
 プレイヤーは冒険企画局のグラフィックデザイナー、えぬえぬさん。
 
 さて、駆け出し亜侠チーム「はだかの野獣少年団」は、ある雨の夜、小さなモーターボートで大阪湾に漕ぎ出す。沙京流氓のブローカー、アフマド・ドミニオンのオファーで、密輸品を回収する運び屋の仕事を引き受けたのである。目印のブイを見つけて、バロックがスキューバ装備をつけて真っ暗な海に飛び込む。ブイのロープを伝って降りていくと、海底に目的のスーツケースを発見した。バロックはケースを掴むと、ボート目指して浮上する。
 DD「では、ボートの上のみなさんは――」
 テトラポット「(間髪入れず)周りに目を配ります」
 ココイチ「(はっとして)海面を見張ります。特に背びれに気をつけます」
 DD「じゃあ二人とも犯罪で判定して……はい、ではテトラポットは、気を失った少女が乗った救命浮き輪が浮いているのを見つけます。その向こうには米軍の巡視艇が見えます。ココイチは滑るように近づいてくる三角形の背びれを見ます」
 一同「(うめき声)」
 海面に浮上したバロックは、ボートの仲間が自分の後ろを指差して何か叫んでいる(「鮫! 鮫! 鮫!」)のをいぶかしく思うまもなく鮫に喰らいつかれて14番表に叩き込まれた。即死は免れたものの、気絶して血をだくだく流しながらなす術もなく夜の海に漂う。
 やばい、バロックを助けないと。ついでにあの漂流してる子を見捨てるのも忍びねえ。近づけ近づけ、とやってると、流氓がつけてくれた操舵手が勝手にボートのエンジンをかける。おい馬鹿何やってんだと怒鳴るも、巡視艇の接近にすっかりびびっている様子。そこでナターリァが装舵手にチーフスペシャルを突きつける。
 ナターリァ「仲間がまだ海にいるのよ。全員揃わない限りどこにもいかないわ」
 その銃口の前で、装舵手の頭がいきなり爆ぜた。
 えっ、撃っちゃったの? 一同、ナターリァの顔をまじまじと見るが、当のナターリァは狼狽中。
 ナターリァ「あ……あたしじゃないわよ!?」
 次の瞬間、ボートは強烈な銃撃に包まれた。巡視艇の米兵が撃ってきたのだ!
 敵はステアー装備の「列強の兵士」3人(+巡視艇を操縦している1人)。対するこっちはAKMとチーフが数丁あるだけで、戦闘が得意な人間がほとんどいない。なんとかバロックと漂流者を回収して海の上を逃げ回るが、米兵は狙撃でどんどん当ててきて、しかも命中には「必殺」の効果がついている。ボートの周りには鮫がうろついているので、銃撃に対して「飛ぶ」で回避することも躊躇われる。ナターリァは鮮やかなグランジュテで銃撃を回避して海に落ち、鮫に咬まれた。サンジュウロウは撃たれて倒れ、立ち上がりかけてまた撃たれる。救急箱で必死の救命活動を試みるテトラポットも容赦なく撃たれ、バロックにいたっては意識を取り戻したと思ったら起き上がったところに弾を喰らって瀕死の重傷。このまま逃げ回っていてはジリ貧だと遅まきながら気づいた一同、ここに至ってようやく撃ち返し始める。夜の海上にチカチカと銃口炎が瞬く。しかし火力の差はいかんともしがたい。最初から反撃していれば話は違ったかもしれないが、最初の弱気が趨勢を決していた。バロックは船縁から顔を出して、巡視艇の女性兵士に恋愛攻撃を仕掛けるが、13歳の美形少年は彼女たちの好みではなかったようで効果はいまいち。万策尽きて、なにかとんちをひねり出そうと唸る一同。血の海と化したボートの中で、ココイチは奇跡的に軽傷しか負っていなかったが、銃を取って撃ち合えるようなスペックではない。買い物さえできれば……と言っていたら、DDが助け舟。
 DD「あ、オープニングで買い物とかさせなかったから、何か一つだけ買っておいたことにしていいよ」
 ココイチ「手榴弾くださいッッ」
 ココイチは懐から手榴弾を取り出して、半死半生のバロックに渡す。乾坤一擲、バロックが最後の気力を振り絞って投げた手榴弾は見事巡視艇の上で爆発した。この攻撃で兵士3人が戦闘不能になり、巡視艇は舳先を返して退却していった。
 生き延びた……。一同ほうほうの体で港に戻り、依頼人のアフマド・ドミニオンにスーツケースを渡す。ケースの中には白い粉がぎっしり入っていたようだがもはやそんなことはどうでもよかった。一同は報酬として受け取った札束を握り締め、脚が千切れかけて意識不明のサンジュウロウの巨体を乃木医院に担ぎ込むのだった。

アジアンパンクRPG サタスペ (Role & Roll RPG)

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