アイアン・サンライズ

 夏に出た『シンギュラリティ・スカイ』と同じシリーズ。直接の続編ではありませんが、世界観とキャラクターは共通しています。
 これは面白かったです。とっちらかった印象のある前作に比べても、ずっと読みやすい。星間諜報戦とカウンターテロをメインにしたストーリーの牽引力が強くて引き込まれました。悪役も憎ったらしくて、ちゃんと悪役らしいです。
 冒頭でタイトルの意味するところが早々と明らかになるのですが、その描写が素晴らしいです。鉄爆弾こえー。相変わらずゆかいガジェットもいっぱいですが、コルヌコピア・マシンの重要度が前作より下がっているので、多少節度があります。でも食人大統領アミンのなりきりコスプレイヤーとか出てくるので油断はできません。あと、ブロガーが読むと罵倒芸をやる誘惑にかられるかもしれません。
 シンギュラリティSFってなんだよついていけねえよという人にもお勧めの娯楽作品なので、ぜひ読むとよいです。誤植も前作より減ってます。早川ちゃんがんばった!

アイアン・サンライズ (ハヤカワ文庫SF)

アイアン・サンライズ (ハヤカワ文庫SF)