DayZプレイ記録#1:ミッドナイト・ラン

夜の海岸で目を覚ました。
よろよろと立ち上がってあたりを見回す。
雲に覆われた夜空には星一つ見えない。地面も木立も黒一色に塗りつぶされている。
真っ暗な中、聞こえるのは打ち付ける波の音だけだ。
――では、ついに来たのだな。
チェルナルース共和国。
歩く死体――ゾンビどもに支配された、旧ソ連の小国。
先に渡った友人たちを追うように、私もとうとう、この死者の地へと足を踏み入れたのだ。
動き出そうとバックパックを開いて――――しばし呆然と立ちすくんだ。
銃がない。
というかほとんどなんにもない。
ちょっと。
ちょっと待ってくれ。
包帯と痛み止めとフラッシュライトで原野にほっぽり出されてどうしろというんだ。
ゾンビがうろついてるのに銃はおろかナイフの一本もないのか。
マスターキートンじゃねえんだぞ。
このフラッシュライトで殴ったりできねえかな、といじくりまわすが、それ以前に点け方もわからない。くそ、なんだこれ。
そのうち雨が降ってきた。
草むらでうずくまっているとどんどん体温が奪われていく。
どこに行けばいいのか皆目見当が付かないが、せめて雨宿りできる場所を見つけようと、暗闇の中を歩きだした。
すこし行ったところに小屋を見つけた。誰もいないので、これ幸いと中に入る。
何か役に立つものでもあるかと思ったが、床に落ちているのは空き缶だけだ。
ようやくライトを点けるのに成功して、開け放たれた扉の向こうの草むらを光の輪が照らし出す。
このまま朝まで待とうかと思ったものの、寒くて震えが止まらない。
DayZ @ wikiによれば、走ると体温が上がるらしいので、小屋の中で運動することにした。
小屋の扉を閉めて、ライトを消すと本当に闇の中だ。
ライトを点けたまま走ると光が揺れて見づらくてしょうがないので、消した方がマシなのだった。
あちこちぶつけながら、狭い小屋の中を走り回る。
うん、いいぞ。あったまってきた。
それにしても、小屋の中で走っているはずなのに、やけに足の運びが快調だ。
足音もざっくざっくと、まるで丈の高い草の生えた荒野を駆けているような――――
――ってオイィィィこれ外じゃねえか!!
気付いたときには遅かった。
小屋の中でランニングしようとした私は、いつの間にか扉を押し開けて外に飛び出し、そのまま夜の荒野を全力疾走していたのだった。
ゾンビのうろつく荒野を。
ぎこちない足音と唸り声が、私の周りで一斉に沸き起こった。
愕然とした表情で走り続ける私に向かって、生者の肉を喰らう死者たちが殺到してきた。