マレウス・モンストロルム
"Malleus Monstrorum"――「魔物の鉄槌」がとうとう翻訳されました! 300種類を上回るクリーチャーと神格を納めた、クトゥルフ神話怪物事典の決定版ともいうべき大作です。
元々この本がターゲットにしているコアゲーマーならとっくにご存知かもしれませんが、ゲーマーではない、単純にクトゥルフ神話ものが好きな人にも、この本非常におすすめです。ヨグ=ソトースやらアザトースやらの「おなじみの」面子だけに留まらず、聞いたこともないような妖神邪神のお歴々がてんこ盛り!(きれいなジャイアンならぬ「きれいなクトゥルフ」サニドなんてのがいるんだぜ。知らんかった)
しかし、マイナーな怪物が載ってるだけがこの本の価値ではないのです。『マレウス・モンストロルム』の最も優れた点は、卓越したグラフィックセンスです。
モンスター事典とは言いながら、この本の神話怪物には、まともに姿を描いたイラストがありません。代わりにあるのが、趣向を凝らした「暗示的な」図版の数々。どういうことかというと、古代の文献の木版画や、誰が撮ったものかも判らない古い写真、洞窟壁画や未知の地上絵、宣伝ポスターや子供の描いたクレヨン画などなど、多種多彩な媒体を使って、クトゥルフ神話の怪物を、あくまでぼかした形で表現してるんですね。人類が歴史上に残してきた情報の断片の中に、人知を超えた存在の影が……という趣向。もちろんたいていは捏造(=コラ)なんですが、これがまあよくできてて、図版を眺めているだけでわくわくすること間違いなし。中には加工されてないそのままの写真も載ってたりしますし、現実と空想の境界線上でぐらぐらする楽しみを味わうことができるはずです。
ちなみに、一般的に言って、この手のサプリメントは二刷が出るか判りません。煽るようですが、いつか買おうとか思ってる人は在庫がある今買ったほうがよろしい。
かつて、「クトゥルフ神話怪物研究者のためのフィールドガイド」という体裁の、『クトゥルフ神話図説』というこれまた素晴らしい図鑑があったのですが、今では絶版になって高値がついています。それを考えると、この『マレウス・モンストロルム』も、なるべく早く確保しておくのが肝要というものです。
クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム (ログインテーブルトークRPGシリーズ)
- 作者: スコット・アニオロフスキー,ほか,立花圭一,坂本雅之
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2008/02/25
- メディア: 単行本
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